美味しい時間

急いで服を脱ぎバスルームに入ると、熱いシャワーを頭から浴びる。
しばらくぼーっと浴び続けた。

「…………」

キュッと蛇口を閉めてお湯を止めると、目の前の鏡に自分の裸体が映しだされた。
毎日見る見慣れた自分の身体なのに、何故だか他人のもののように見える。
自分の身体に、そっと指を這わせてみた。
身体の一部がキュンと疼き、私を現実の世界に引き戻す。

「何やってるんだろう……」

ブルブルと頭を振るう。
そしてスポンジにいっぱい泡をたてるとゴシゴシと身体を洗い、バスタブにザブンっと頭まで浸かった。
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