美味しい時間

でもさっき、私の気持ちが決まるまで待ってくれるって、課長言ったよね?

だ、だから……大丈夫……?

と、思った瞬間。身構える時間も与えてもらえず、強引に唇を重ねられてしまう。

大丈夫じゃなかったーっ!!!

助けを求めるように両手を空中に泳がしていると大きな手がその手を掴み、指を一本一本絡ませていく。
そしてそのまま布団に押し付けるように腕を下ろしていった。

その動き一つ一つが丁寧で優しい。
触れ合っている唇と指先から、熱い気持ちが伝わってくる。

キスの強引さに戸惑ったのは最初だけ……。
私は課長のその熱さを感じようと、身を任せた。

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