美味しい時間

私の不安が伝わるのか、それを埋めるような激しいキスに翻弄される。

「もっと百花を深く感じたい」

今のこのキスでも身体が蕩けそうなのに、これ以上?

「ほらっ、口開けて」

口を開ける? 
それはどういう事か聞こうと開きかけた口を、課長がすかさず塞いでしまう。
僅かに開いていた隙間から、グッと舌が割り入ってきた。
初めてのことでどうしてらいいか分からず戸惑っていると、私の舌を吸ったり絡めたりしてから少しだけ唇を離す。

「百花も俺を感じて」

それは同じ事をしろって言うことなの?
再度舌が差し込まれると、真似しろと言わんばかりに絡ませてきた。
恐る恐る舌を動かし自分から課長の舌に絡ませると、それまで感じたことのない感覚に襲われる。

欲情?

私も課長が欲しい……。

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