美味しい時間
一番奥の窓際に空いているテーブルを見つけると、狭い隙間をくぐって目的の場所にたどり着く。
何とも言えない美味しそうな匂いに、胃袋が私を急かし始める。
『分かったから、もう少し待って』
心の中でそう呟いて、気持ちを落ち着かせた。
椅子に座り、手をあわせて……。
「いただきま~すっ」
ちょっと大きな声で言ってしまったと気づき周りを見ると、父親と同じ年くらいのオジサマ達が、微笑ましそうに見ていた。
照れくさくなり、ペコリと頭を下げてから笑顔を見せる。
もう一度小さく「いただきます」と言って、箸を持つ。
一口それを頬張ると、口中いっぱいに幸せが広がっていった。
やっぱりおじちゃんの親子丼は最高っす!もうほっぺがとろけちゃいそうだよ。
これこそまさに、至福の時間だぁ。
外の景色を見ながら至福の時間を堪能していると、それを邪魔する声が飛び込んできた。