美味しい時間
腕の痛みに顔を引きつらせると、彼女が楽しそうにほくそ笑んだ。
何が何だか分からなくなり、目の前にいる美和先輩に目線を送る。それに
何かを感じ取ってくれた先輩は、私に話しかけてくれた。
「百花、食堂行こうか」
その言葉を聞いて、心の中で『助かった……』と呟く。
しかし、それもつかの間の喜び。
間髪を容れず、言葉が返ってきた。
「若月さん。藤野さんは私たちとランチするから、今日は遠慮して下さる?」
「えっ……でも……」
刺のあるその言い方に、美和先輩も怯んでるみたいだった。
先輩に迷惑は掛けたくない。
小さく深呼吸するとニッコリ笑顔を作り、美和先輩を見る。
「先輩。今日は外でランチしてきます」
そして、お姉様の方に振り返った。
「ランチ、ご一緒します」