美味しい時間
夕食アラカルト
ここの所、毎日残業をしていた私。
定時に上がるなんてこと、いつぶりだろう。
美和先輩も驚いている。
「百花、今日はなんか用事でもあるのぉ? 定時なんて珍しいじゃん」
さすがは美和先輩。何かを怪しんでる感じだ。
「特に何も。調子よく仕事片付いちゃって」
うん、我ながら嘘を上手に言えました。
「そっか。私はもう少しだけ仕事してくわ」
「じゃあ、お先に失礼します」
そうフロアに残っている面々にあいさつすると、あちらこちらから「お疲れ~と声が返ってきた。
美和先輩に手を振り廊下に出ると、ドンッと誰かにぶつかる。
「すみません。ちゃんと前を向いてなくて……」
そう謝る途中、いきなり腕を引かれた私の身体は、フロアの反対側にある給湯に押し込まれてしまった。