美味しい時間
「おぉ~早いじゃん。よしよし、いい子いい子」
美和先輩が私の頭を撫でる。まるでお使いが上手に出来た子供みたいに扱われて
口を尖らせていると、堪え切れないかのように吹き出して笑い出した。
「百花をからかってると、ほんとにおもしろい」
「私はちっとも面白くないんですけど……」
「まあまあ、そんな顔しないで。美味しい物奢るからさっ」
えっ!? 奢る?
その言葉に顔をほころばせると、また美和先輩が盛大に笑い出す。
「あははっ。やっぱり百花には食べ物が一番効き目があるわ」
「奢るって言ったの、忘れないで下さいよ」
美和先輩の腕に手を回すと、引っ張るように歩き出す。
あっ、そう言えば……。
「先輩? なんで急に誘ってくれたんですか?」
いつもなら遅くても2日前くらいまでには誘ってくるのに、今日はいきなり。
それも、急いで出てこいなんて……。