美味しい時間

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「美和先輩どうしよう……。私、今晩寝れないかもしれない」

ランチバイキングを終え、ラウンジに向かいながら興奮気味に話していると、
横には美和先輩の呆れ顔。
そんな事にはお構いなく話し続ける私を放おっておいて、ラウンジで一番景色
のいい場所にドカッと座り込んでしまった。

「先輩~。私の話聞いてます?」

「聞いてませんっ」

「えぇ~、それって酷くないですか?」

「あんたがそれを言う?」

さすが、なかなか予約が取れない評判のランチバイキングだけあって、味はもち
ろん、見た目も文句なしに素晴らしかった。イタリアンを基本にした創作料理の
数々は、私の心をギュッと掴んでしまい離してくれなかった。しかしそれが、私
の料理好き魂に火をつけてしまう。
自分では気づかなかったけれど、私一人、かなり浮いていたみたい……。
一緒にいた先輩は、周りの人から視線が気になって食事どころじゃなかったと
言うのだ。


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