美味しい時間

私もソファーに座ると、俯き加減に美和先輩の顔を見る。

「私、そんなに変でした?」

「独り言は声が大きいし、混雑してる所でいきなりシェフに質問し始めるし」

「だってこんな機会、もうしばらくないんだもん……」

「あ~分かった分かった。それだけ嬉しかったんだよね」

「ごめんなさい」

そう言って頭を下げると、髪をぐしゃぐしゃと大げさに撫でた。

「この後どうする? ここでちょっとお茶でもする?」

「はい、ちょっとお腹を休めたいかなぁ」

ここのラウンジのハーブティーは種類豊富で、食後の重たくなった身体には
ちょうど良かった。
先輩がキョロキョロしてラウンジの店員さんを探していると、小さく「あっ」と
声を発し、みるみるうちに顔色が変わっていく。
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