美味しい時間

「あのですね課長。別に何時って約束してたわけじゃないですし、寺澤くんとだって、ちょっと話しただけですよ」

何で言い訳してるんだろう……。私、悪くないのに。
憮然とした面持ちでいると、課長が申し訳なさそうに口を開く。

「悪い……。俺、何言ってるんだろうな」

そう言って苦笑し、助手席のドアを開けた。

「ほらっ乗って」

なんか課長、会社にいる時と感じが違う。
どうしちゃったんだろう。
こっちまで調子狂っちゃうじゃん……。

ペコッと頭を下げ車に乗り込むと、優しくドアを閉める。

急にドキドキしてきたっ。
よく考えると私……。

男の人の車に1人で乗るの、初めてだぁーーーっ!!!

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