美味しい時間
こんな狭い空間に2人っきり。
それも相手は、あの、東堂課長。
ムチャクチャ緊張するんだけど……。
どこ向いてればいいの?
何話せばいいんだっけ?
もしも課長の気に触ることしちゃったら、また仕事増やされるかもしれないし……。
そんなの、まっぴらごめんだよぉ~。
わぁ~んっ!!
どうしたらいいのぉぉ~。
「何、一人芝居してるんだ?」
「ふえっ?」
オォォーーーッ!!! 変な声が出ちゃったよ……。
そんな私を見て、課長がゲラゲラと笑い出した。
「……お、お前って、本当に……おもしろいのな」
「そんなに笑わなくてもいいのに……」
「悪い悪い。可愛いなと思ってさ」
「…………」
一瞬、思考が固まり、意識が遠のきそうになる。
頭をフルフルと振って、それを慌てて取り戻す。
わ、わ、私が可愛いぃぃぃ~っ!?