美味しい時間
何か変なことを言っただろうか。
眉間に皺を寄せたまま、ただ目線は逸らさず何かを考え込んでいる。
「え、えっと、課長? さすがにフロアには戻りにくいし、今日は家に帰ろう
と思うんですけど……。送ってもらってもいいですか?」
もう車に乗ってるんだし、これくらいお願いしてもいいよね?
課長が何を考え込んでいるのかは分からないけれど、ニコッと笑顔を向けた。
すると何か意を決したように頷き、後部座席から出る。そして私の腕を掴むと、
グッと引っ張りだした。訳も分からず、されるがままになっていると、今度は
助手席に座らせれた。呆然として課長の姿を目で追っていると、足早に運転席
に乗り込んだ。
「か、課長?」
何か怒らせてしまったのか……。黙ったままの課長に声をかけると、一瞬だけ
こちらを向いた。でもすぐに元の位置に顔を戻すと、エンジンをかける。
何はともあれ、送ってはくれるようだ。
しかしホっと一安心をしたのもつかの間、私を送ってくれるなら駐車場を出
て左折するところを、何故か課長は右にハンドルを切った。
「えっ!? 課長、私の家、反対ですよ」
「知ってる」
そりゃそうだよね。何回もうちに来てるんだもん。
……って、違ーうっ!!!
そんなことを言ってるんじゃないよ。
「そうじゃなくて、何で反対方向に走ってるんですか?」
「家に帰るからだろ」
眉間に皺を寄せたまま、ただ目線は逸らさず何かを考え込んでいる。
「え、えっと、課長? さすがにフロアには戻りにくいし、今日は家に帰ろう
と思うんですけど……。送ってもらってもいいですか?」
もう車に乗ってるんだし、これくらいお願いしてもいいよね?
課長が何を考え込んでいるのかは分からないけれど、ニコッと笑顔を向けた。
すると何か意を決したように頷き、後部座席から出る。そして私の腕を掴むと、
グッと引っ張りだした。訳も分からず、されるがままになっていると、今度は
助手席に座らせれた。呆然として課長の姿を目で追っていると、足早に運転席
に乗り込んだ。
「か、課長?」
何か怒らせてしまったのか……。黙ったままの課長に声をかけると、一瞬だけ
こちらを向いた。でもすぐに元の位置に顔を戻すと、エンジンをかける。
何はともあれ、送ってはくれるようだ。
しかしホっと一安心をしたのもつかの間、私を送ってくれるなら駐車場を出
て左折するところを、何故か課長は右にハンドルを切った。
「えっ!? 課長、私の家、反対ですよ」
「知ってる」
そりゃそうだよね。何回もうちに来てるんだもん。
……って、違ーうっ!!!
そんなことを言ってるんじゃないよ。
「そうじゃなくて、何で反対方向に走ってるんですか?」
「家に帰るからだろ」