美味しい時間
目をパチパチさせながら、課長の顔を見る。
「うん? どうした?」
「い、今、課長、私のこと可愛いって言いました?」
「あぁ言ったけど。それが?」
どういう意味で言ったんだろう?
可愛いって……。
意味なんてないのかな。
きっと課長のことだ。いい慣れてるに決まってる。
だから口からポロッと出ちゃったんだ。
本気にしちゃダメだよね。
ウンウンと一人で頷き、納得していると、またくすくす笑いながら左手をハンドルから離し、私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「お前って、誰の前でもキャラが変わらなくていいよな」
キャラが変わらない?
「それって、どういう意味ですか?」
「そのまんまの意味だよ」
……まったく分かりません。
子どもっぽいって言いたいのかな。
どうせ私は仕事もろくにできない、ちっちゃい子供ですよ。