美味しい時間

もう痛みは感じなかった。快感だけが私の身体を支配している。
恥ずかしいと思いながらも、もっと課長を求めて腰が勝手に動いてしまった。

「んんっ……、百花、それヤバいって」

「ご、ごめん……」

「いや、違う……、気持ちいい」

課長の口から甘い吐息が漏れ始めると、その吐息さえも逃さないよう、背中に腕
を回しぎゅっと抱きついた。課長が優しく微笑む。

「百花……愛してる」

私も……と言いたいのに、息もできないほどの刺激と快楽に声が出ない。身体の
中心が疼き、私に絶頂が近いことを知らせる。
課長もそれを感じたのか「うぅっ」と唸り、私を強く抱きしめた。
身体が痙攣したかと思うと、あっという間に高みに達してしまった。

私の中心が熱くなっているのを感じ、幸せ感が募る。
そのことが嬉しいと思うのと反面、もうほとんど力の残っていない私は、背中に
回していた腕が離れ、だらんとベッドに落ちた。




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