美味しい時間
お弁当には御用心
帰り道の途中にある、深夜まで営業しているスーパーで買い物をしていくことにした。
ウキウキしながらカートにカゴを乗せ歩き出す課長。
私はそんな課長の背中に、苦笑しながらついていく。
「なぁ、何でも作ってくれんの?」
「私の作れるものなら」
ウンウンと頷きながらカゴに食材をポンポンと投げ入れる。
男の人の買い物って……雑なんだ。
カゴの中をいちいち整えながら、はぁっと小さく溜息をついた。
「今日は奮発して、いいタマゴ買ってやる」
そっか。甘い卵焼きが好きって言ってたっけ。
実は私も、卵焼きは甘いほうが好きなんだよね。
好みが一緒なのは、ちょっと嬉しい。
「これくらいかな」と言うから、カゴの中を覗いてみると……。
「小学生の遠足の、定番メニューみたい」
あっ……しまった。心の声が出ちゃったよ。
怒られると思い恐る恐る課長の顔を見てみると、以外にも少しだけ赤く顔を染めて不貞腐れているみたいだった。
「手作り弁当なんて久しぶりだからさぁ」
ほんとに小学生みたいで、思わずプッと笑ってしまう。
「笑うなよ……」
ちょ、ちょっと……。
不覚にも、可愛いと思ってしまったじゃない。