美味しい時間

あれ? 誰かのためじゃなくて、課長のためだから?
ふとそんなことを考えてしまい、また昨晩のことを思い出してしまう。

布団に身を埋めても触れられた頬がいつまでたっても熱くて、なかなか寝ることが出来なかった。

「課長があんなことするから、わけわからなくて寝不足だよ」

そうボヤきながらお弁当を包み袋に入れると、今度は自分の支度を始めた。

思ったより会社に行く準備も早く終わりカバンの中をチェックしていると、携帯のメール着信のランプが点滅していた。

「こんな朝に誰からだろう?」

母親か親友の静香か佐織あたりだろうと思いながら、素早く取り出しディスプレイを見てみると……。

「東堂課長だ」

きっと、お弁当が心配なんだよ。すっごく楽しみにしてたからね。

携帯を開き内容を見てみると思っていたことと違い、少しだけ戸惑ってしまう。

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