美味しい時間
ほぼ毎日課長とお弁当を食べると言うことは、ほぼ毎日美和先輩に言い訳をしなくちゃいけないという事で……。
言い訳も底をついてきた。もうこれ以上は騙せない。
それに、やっぱり美和先輩には話しておくべきだと思い、幸い課長も今日は外出だったため一緒にランチすることにした。
「何か話しあるんでしょ、百花」
おぉ…バレてるっ。
そんなに挙動不審だったのかなぁ……。
「あ、あのですね、先輩……」
言いにくいよなぁ。だって先輩も課長のファンなんだもん。
お弁当のことカミングアウトして、怒っちゃわないか心配だよ。
下を向きなかなか言い出せずにいると、美和先輩の口から意外な言葉が飛び出してきた。
「課長のこと?」
「えっ?」
私が驚いて固まっていると、クスクスと笑ってサンドイッチを食べだす。
「目の前の席に座ってるんだよ。ここ最近百花の視線の先が、課長に向いてるのに気づかないはずないでしょ」
なんだ、気づいてたんだ。気づいてて、私の嘘に付き合ってくれてたんだ。
「美和先輩、大好き」
そう言って頭を下げると、また笑い出した。