美味しい時間
部屋に着くと荷物を片付け、服を着替える。
「どんな格好してればいいの?」
仕事が終われば課長が来てくれる……。
そう思うと嬉しくて、居ても立ってもいられなくなってしまった。
パジャマ? スウェット?
やっぱり病人なんだから、パジャマだよね。
「部屋も掃除しておかなきゃ」
そんなに汚いわけじゃないけど、脱ぎ捨ててある服や投げ捨ててあるゴミは片付けないと……。
って、思ったより汚いじゃんっ!!!
ゴミ袋を持ってくると、ゴミをポンポンと投げ入れる。
服もかき集めて洗濯機に入れると、次は掃除機をかけ始めた。
ついでに拭き掃除も……。なんやかんやで気がつくと、1時間以上も掃除に熱中してしまっていた。
「うっ……頭痛い……」
そうだった……私、病人だったんだ。
課長が来ることに舞い上がってしまい、その事を忘れてたよ。
身体はダルいし頭はズキンズキンと痛む。
這うようにベッドまで行くと、上に登るのもしんどくて、そのままもたれかかるように身体を預けた。
「布団冷たくて気持ちいい」
そう思ったのを最後に、意識が途切れてしまった。