美味しい時間

私の住んでいるアパートは、小さなロフト付き1DK。
トイレとバスも分かれていて、部屋の広さも申し分ない物件だ。
料理が好きな私としては、どうしてもキッチンにゆとりが欲しかったんだよね。
少しだけお家賃が高めだけど、この部屋、気に入ってるんだぁ。
部屋に入ると課長は、キョロキョロと部屋中を見回し「へぇ~」と呟いた。

「百花らしい部屋だよな」

「私らしい?」

「女々してないっていうか、シンプルっていうか……」

どうせ女子力低い部屋ですよ~っと、課長に見えないようにベーっと舌を出す。

「良い意味でだぞ。落ち着く」

お、落ち着くんだ。ちょっと嬉しいかも。
ニコニコしていると、寒さでブルッと身体が震えた。
寒いダイニングキッチンで話をしてて、冷えたかな……。

「はっくしゅんっ!」

あってヤバい……熱、上がってる? すごく寒くなってきた。

「お前、熱下がってないな。早く寝ろ」

ベッドまで私をつれていくと、何故か怪訝な顔をした。

「なぁ百花。お前、家に帰ってからちゃんと寝てた?」

< 70 / 314 >

この作品をシェア

pagetop