美味しい時間

近所のお店で買ってきてくれたパンとテイクアウトのスープ。
「冷めたから温め直した」と席についた私の前まで持ってきてくれる。

「わぁ~私の大好きな、トマトとあさりのバジルスープだっ」

「前に百花が、そのスープを嬉しそうに飲んでるの見たことあってさ」

それを覚えてくれてたの? すっごく嬉しいっ!
顔がニヤケてしまう。
スプーンですくって一口飲むと、トマトの酸味とあさりの旨みが体中に染み渡っていった。

「美味しい……」

身体もポカポカ温まってきた。
そんな私を見て、満足そうに微笑んでいる課長。
私たちはしばらく食事をしながら他愛のない言葉を交わし、幸せな時間を過ごした。
< 78 / 314 >

この作品をシェア

pagetop