美味しい時間

その手に自分の手を重ねて目を閉じた。

「あったかい」

そう言うと、頬に当てていた手を動かし、今度は親指と人差指で軽く摘む。

「甘えん坊っ」

笑ってキュッと摘むと離し、頭をくしゃくしゃと撫でた。

「痛いなぁ」

自分の頬を撫でながら、果物に目を動かす。

「慶太郎さん、まだ食べれます?」

「何かあるのか?」

「私が作ったプリンと生クリームはあるから、プリンアラモード作ろうと思って」

せっかく買ってきてくれた果物、食べたいもんねっ。
それに課長は食後の甘いものが好きだったし。

「いいねぇ~」

顔をクシャッと歪ませて笑う。
やっぱり子供みたいじゃん……。
今度はちゃんと心の中で呟いた。。
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