美味しい時間
「またまた冗談ばっかり言って。あはははははっ……」
こんな時は笑うに限る。
お弁当だけでもドキドキもんなのに、夕飯まで一緒になんて。
それも毎晩? 有りえない……。
毎日こんなんじゃ、心臓がもちません。
「冗談? そんなわけ無いじゃん。マジ、本気!」
おぉっ! 目が本気を語ってるよ。前にも言ったとおり、こうなった課長にはもう敵わない。私が「それは無理」といった所で、却下は目に見えてる。
はぁっと溜息混じりに苦笑すると、課長がそれを見逃さなかった。
「もう諦めたって顔? じゃあいいんだな」
「だって、ダメって言っても無理なんでしょ?」
「分かってるじゃん」
はいはい。もう慣れてきたかも。
それに、一緒に食べるのは正直嬉しいし……。
「夕飯、食べるだけですよ」
「分かってるって。それとも何か期待してるとか?」
「してないっ!!」
相変わらず私をからかって、ニヤニヤ笑って意地悪な顔をした。