美味しい時間
今日は少しだけ残業になりそう。
フロアの時計を見ると、定時の17時を回っていた。
結局午前中は美和先輩に注意されたにもかかわらず、妄想満開、ニヤニヤしてしまい仕事が進まなかった。
その分を取り返すべく午後からは頑張ったせいか、肩がパンパン。
それを解そうと肩を回して軽くストレッチをしていると、メールを知らせる着信音が鳴った。
「誰からかなぁ~」
何気なく携帯を手にし確認する。
「あっ……」
課長からだ。
デスクを見てみるが姿はない。周りをキョロキョロ確認してから、メールの内容を見た。
『俺、肉も魚も好きだけど、外で肉料理食べる事が多いから、百花の手料理は魚メインだと嬉しいな。よろしくっ!!』
いきなり何なのよっ!
それにまた“よろしくっ”だって。
そう言えば、何でもしてくれると思ってるよね、まったく。
まぁ、課長に喜んでもらいたくてそのお願いに応えちゃう私も私だけど……。
『私も聞こうと思ってました。じゃあ今日は魚の煮付け作っておきます』
これでよしとっ。私も課長には甘いよね。
さっさと仕事終わらせて、スーパーに寄っていかなくちゃ。
また顔をニヤニヤさせて、パソコンに入力を始めた。