美味しい時間
「百花の手料理で飲めるなら、毎日泊まっていくかなぁ」
毎日泊まっていったら、それは泊まるじゃなくて一緒に暮らすだよ。
でも課長が言うと、本当にそうしてしまいそうで怖い。
有言実行な人だからね……。
そして、ここに来る前の課長の言葉を思い出してしまった。
(お前を食べる……)
ドクンと心臓が音を立てて跳ねた。
今日、泊まっていく……。と言うことは、お風呂にも入って、ここで寝るんだよね。一緒に寝る?
頭の中で勝手に妄想が膨らんでいく。
ダメダメダメッ!!! その頭をブンブン振って妄想を振り払った。
どうしたいの私っ! もう分からなくなってきた……。
「ひとりで何考えてるの?」
「な、な、何にも考えてませんっ」
動揺が丸見えじゃん。もう恥ずかしすぎる……。
「ふ~ん、そうは見えなかったけど?」
強がってみても、課長にはお見通しみたいだった。