美味しい時間

「百花の手料理で飲めるなら、毎日泊まっていくかなぁ」

毎日泊まっていったら、それは泊まるじゃなくて一緒に暮らすだよ。
でも課長が言うと、本当にそうしてしまいそうで怖い。
有言実行な人だからね……。

そして、ここに来る前の課長の言葉を思い出してしまった。

(お前を食べる……)

ドクンと心臓が音を立てて跳ねた。

今日、泊まっていく……。と言うことは、お風呂にも入って、ここで寝るんだよね。一緒に寝る?
頭の中で勝手に妄想が膨らんでいく。
ダメダメダメッ!!! その頭をブンブン振って妄想を振り払った。
どうしたいの私っ! もう分からなくなってきた……。

「ひとりで何考えてるの?」

「な、な、何にも考えてませんっ」

動揺が丸見えじゃん。もう恥ずかしすぎる……。

「ふ~ん、そうは見えなかったけど?」

強がってみても、課長にはお見通しみたいだった。
< 95 / 314 >

この作品をシェア

pagetop