美味しい時間
おいしい料理に合わせて飲むのは好きだけど、ひとりの時に飲むことはまずない。だから家で飲むのは久しぶり。
課長と一緒だからかなぁ、いつもよりビールが美味しい。
「結構飲めるじゃん」
そう言って、まだ飲みかけのコップになみなみとビールを注ぐ。
「慶太郎さん、入れ過ぎ」
「美味しい料理には、お酒が必要だろ。百花の料理、最高だからさ」
最高って……嬉しい。やっぱり料理は食べてくれる人がいる方が、断然作りがいがあるよね。
美味しそうに食べてる姿を、見てるだけで幸せになってくる。
「ニヤニヤして嬉しそうだな」
「はい、慶太郎さんが美味しそうに食べてくれるから嬉しいです」
「そっか……」
あれ? 課長の顔が少し赤いような気がするんだけど。
じーっと見続けていると、ますます赤くなっていく。
「慶太郎さん。もしかして照れてるとか?」
「お前なぁ……」
そう言ってビールを一気に飲み干した。