その両手の有意義な使い方
第五話 … 終わりの予感
週明けの月曜日。一限の開始時間は、驚愕の八時半。
まるで、サボれ! とそそのかされているようなコマが、必修中国語Ⅰだ。
担当講師はやる気があるのかないのか、十五分までは出席にしてくれる。
お陰様で、実際の授業開始は八時四十五分。
とろとろとゆるい眠気に身を委ねながら、文佳は開いては閉まる扉を眺めていた。
ちらり、と時計を見ると八時四十三分。
高遠は、まだ来ない。
白紙のルーズリースに、視線を落とす。戯れにくるくると、シャープペンでいびつな花びらを描いてみる。
と、微かな音を聞き分けて、文佳はぱっと顔をあげた。
「すんません…」
他の遅刻学生と同じ、聞き取りにくい決まり文句を呟き、頭を下げて講師の脇をすり抜けたのは、高遠。
目線で向けられた笑みに、文佳はほっと、肩の力を抜いた。
まるで、サボれ! とそそのかされているようなコマが、必修中国語Ⅰだ。
担当講師はやる気があるのかないのか、十五分までは出席にしてくれる。
お陰様で、実際の授業開始は八時四十五分。
とろとろとゆるい眠気に身を委ねながら、文佳は開いては閉まる扉を眺めていた。
ちらり、と時計を見ると八時四十三分。
高遠は、まだ来ない。
白紙のルーズリースに、視線を落とす。戯れにくるくると、シャープペンでいびつな花びらを描いてみる。
と、微かな音を聞き分けて、文佳はぱっと顔をあげた。
「すんません…」
他の遅刻学生と同じ、聞き取りにくい決まり文句を呟き、頭を下げて講師の脇をすり抜けたのは、高遠。
目線で向けられた笑みに、文佳はほっと、肩の力を抜いた。