恋に焦がれて迷走中
あのときだって気が付いていた、


岬の顔色があまり良くないことと、


痩せて一回り小さく感じた。


だけど、余りに久しぶりすぎて気のせいだと片付けていたんだ。


俺のいない間にバイトを始めていた岬


大学だっていっぱいいっぱいのはずだろ。


今になって思えば自分を痛めつける事で別れた苦しさを補おうとしているんだ。


それほど、あいつの中に元彼の存在は大きかったということだ。


頭では理解しているつもりでいても、心の方が付いていかない。


平気という言葉を言うたびにどんなに心が悲鳴を上げていたのか。


その上、一か月音信不通にした俺。


元彼と同じく俺は岬を放り出して一人にしてしまったんだ。


俺の腕の中で意識を失くしていく岬を


強く抱きしめていた。


「ごめん、岬。」
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