私の恋愛説明書
事件への引き金は、同じクラスのなっちゃんの一言だった。
『ねぇ沙月ぃ!』
なんだろう。めったに話しかけられないのに。しかもいじめっ子じゃん。
『…なに。』
冷たく言い放った。視線だけで威嚇するように。
『あのさぁ。沙月って頭いいじゃん?放課後、ミスドーナツで勉強教えてよぉ。ポンデシングルショコラおごるから。』
は?
こいつ何言ってんの?
いじめっ子に勉強教えるほど、わたしは弱い人間じゃないわっ!
『…。ちょっと用事があって。ごめん。』
『えぇー!ちょっとだけ!十分くらいでいいの!』
お願い!としつこく迫るものだから、ちょっとだけだよと承諾してしまった。