“運命の赤い糸”
『全部…ほんとなのか?』
全てを話し終えた後の、震えたヒロキの声。
「……う…んっ…」
あたしは精一杯の声で返事をした。
ヒロキは黙り込んだ。
あたしの泣き声だけが響く。
『…ナオ……』
ヒロキがあたしの名前を呼んだ。
『俺…別れたくねぇよ……ナオと離れたくない…』
今にも泣きそうなヒロキの声。
あたしだって別れたくない。
ずっとヒロキのそばにいたいよ。
だけどこの時のあたしには、
“つらい”
この3文字しかなかった。
「ごめん…ヒロキ……別れてっ…」
『ナオ…』
あたしはそのまま電話を切った。
ヒロキと…終わったんだ。
付き合ってまだ1ヶ月も経っていなかった。
あたしとヒロキは、終わった。