“運命の赤い糸”
あれからかかってきた無言電話で、あたしはサクラに向かって一方的に言った。
『ヒロキとは別れたからっ!!』
それから嫌がらせはなくなった。
いじめから解放されて、楽になったはずなのに。
あたしの心は晴れない。
ヒロキが…いない。
いじめがなくなった今、ヒロキの元に戻ることはできるかもしれない。
だけど、サクラにバレてしまえばまた同じこと。
それに、一方的に別れを告げたのはあたしなのに、また戻りたいなんて、いくらなんでも虫が良すぎる。
「ヒロキとは…もう連絡取ってねーの?」
「うん…」
別れたのに連絡なんて…できるはずがない。
それはヒロキも同じ。