“運命の赤い糸”
ヒロキはサクラを見た。

サクラは分が悪そうに、視線を逸らした。


そして、ゆっくりと口を開いた。


「‥ええ。全部嘘よ。ヒロキに言った言葉、全部嘘だったのよ」

「俺と同じ高校にしたのは‥?」

「ヒロキを見張るため。あたしの知らないところで違う人に恋して、幸せになるなんて許せなかったから」


眉間にシワを寄せて言うサクラ。

こいつはどこまでヒロキを不幸にすれば気が済むんだ?


正直、ここまでだとは思ってもなかった。

こいつはまるで、他人に心をあげようとはしない。

自分の殻の中に閉じこもったまま、出ようとはしないんだ。




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