“運命の赤い糸”
「その時に、ナオを突き飛ばしちゃって、それでっ‥‥俺のせいですっ‥すいません」


俺はそう言うと、思い切り頭を下げた。

目からは涙が零れた。


ナオの父親に、殴られるんだろうな。

2人の大事な娘を、こんなことにさせたのは、紛れもなく俺。

俺はぐっと唇を噛んだ。


その時、意外な言葉が聞こえた。


「ヒロキ君‥だったかな?」


ナオの父親らしき声がして、俺は顔をあげた。


「はい‥」

「私はね、実はさっきまで君のことを知らなかった。ナオが嫌がらせされてたのも、全部」


悔しそうに父親は言った。

娘が苦しんでる時に気付いてあげられなかったことに、後悔しているんだろう。




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