“運命の赤い糸”
「お前さ、なんかつらいことでもあるの?」


俺がそう問いかけると、サクラは下を向いた。

そしてこう言った。


「少し話、聞いてもらってもいい?」


サクラは近くにある椅子に腰をかけて、話し始めた。


「あたしね、小さい頃から婚約者がいるんだ。会社のために策略結婚させられるの」


サクラの口から初めて聞く真実。

俺は真剣にサクラの話に耳を傾けた。


「好きな人ができても、あたしには結婚する相手が他にいる。だから、好きな人は作らないようにして。そしたらいつの間にか性格悪くなっちゃって」


零れる涙を拭いながらサクラは続けた。




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