“運命の赤い糸”
サクラは立ち上がると、ドアに向かって歩き出した。


「あたし、帰るね」


振り返ってサクラは言った。


「おう。気を付けて帰れよ」

「ねぇ‥‥」

「ん?」


サクラは言いにくそうに、口を開いたり閉じたりしている。

俺は不思議に思いながらも、じっとサクラを見つめていた。


「また‥来てもいいかな?安達さんのこと、心配だし‥」


俺の様子をうかがうように、サクラは言った。

俺は満面の笑みで答えた。


「当たり前だろ」


そう言うとサクラは、笑顔で病室を出た。


ナオ、聞いたか?

サクラが謝ってくれたよ。

俺とナオを見て、変われたって。

嬉しいよな。

だからさ、ナオ。

早く目開けてくれよ‥




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