“運命の赤い糸”
その日も俺は、ナオの手を握りしめて、ナオに話しかけていた。


「それでトモヤの妹がな‥‥」


昨日あったことを話そうとした時、俺は言葉をつまらせた。


だって‥

奇跡が起こったから。

あの日起こらなかった奇跡が

今起こったから。


「ヒロ‥‥キ‥?」


ナオがうっすらと目を開けて、俺の名前を呼んだ。


「ナオっ‥‥‥」


俺は何も言えなくなって、ナオの手を強く握りしめたまま、泣きわめいた。




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