“運命の赤い糸”
握りしめたナオの手が、ゆっくりと動いた。

ナオが目を覚ましたのは、夢じゃないんだ。

奇跡が‥起こったんだ。


「ナオっ‥‥ナオっ‥」


俺はひたすらナオの名前を呼んだ。

これが夢にならないように、現実のものだと感じるように、必死にナオの名前を呼んだ。


「ヒロキ‥?」


微かな声で、ナオは俺の名前を呼んでくれる。

とめどなく溢れ出る涙のせいで、ナオの顔がぼやけて見えなかった。


「ヒロキ‥泣かないで‥」


そう言ってナオは、弱々しい指で俺の涙を拭った。




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