“運命の赤い糸”
あたしは川から右足を抜いた。

一度足を抜いたら、もう一度その冷たい川に入ろうとは思わなかった。


とりあえず、声のした方を向いた。

相変わらず、濃い霧が広がってるだけ。


あたしは気のせいかと思い、また川の方を向いた。


するとまた、声が聞こえた。


「戻ってこい!!」


戻ってこい?

戻ってこいって、どこに?

あたしはどこに戻ればいいの?


もう一度振り返ると、濃い霧の中に一筋の光が見えた。

あたしはその光の方へと歩いていった。




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