“運命の赤い糸”


あたしは壁から離れると、トモヤの方を向いた。

トモヤは不思議そうな目であたしを見ていた。


「トモヤ…あたし彼女なんかに負けないから!」

「ナオ?」

「彼女が何? そんなのあたしには関係ない。だって好きなんだもん。
あたし頑張るから!」


あたしは強い意志を、トモヤにぶつけた。


彼女がいたってかまわない。

だって、元々ヒロキはあたしのこと想っていない。

彼女がいたってなんだって、あたしに振り向かせるだけ。


「でも…俺1回彼女見たけど、彼女手ごわそうだったぞ?」

「それでも大丈夫!
だってあたし、ヒロキが好きでたまらないんだもん。彼女がいるからって諦めたくない」


あたしがそう言うと、トモヤは微笑みながら力強く頷いた。

せっかくした恋。

絶対に諦めたくない。




< 29 / 201 >

この作品をシェア

pagetop