“運命の赤い糸”


そんなあたしの姿を見てか、トモヤがあたし目掛けて飛んできた。


「ナーオっ! 帰るぞ!」

「わっ!」


トモヤはあたしの肩を掴むと、そのままあたしをつれて教室から出て行った。

前からはサクラが歩いてきている。

間一髪だった。


あのままあそこで動けずにいたら、サクラに見つかって、

もっとひどいことを言われていたかもしれない。


トモヤに腕を引かれながらも、サクラとすれ違った。

あたしは下を向いていたけれど、上から聞こえたサクラの声。


「あらー? ヒロキを好きなはずなのに、違う男の子といちゃついてるなんて、どれだけ自分に自信があるのかしら?」




< 44 / 201 >

この作品をシェア

pagetop