“運命の赤い糸”
あたしはゆっくり頷くと話し始めた。
「あたし、サクラにずっと、ヒロキのこと諦めろって言われてて。さっき廊下でサクラに言われて気付いたの。
あたしヒロキに好きになってもらいたいって思ってるのに、何もしてないって。
そんな自分が悔しくなって…」
「廊下…? 何言われたの?」
ミユキが心配そうに問いかけた。
口にしようとしたけど、声にならなかった。
「ヒロキが好きなのに俺といたから、自分に自信があるのかって」
あたしの代わりにトモヤが答えた。
「なにそれっ……」
少し怒ったようにミユキが言った。
サクラの言葉に、ミユキは怒ってるようだった。
あたしも言われた時は頭にきた。
だけど、何もしていない自分に言い返す言葉はない。
ヒロキがサクラを想ってる限り、あたしはサクラには勝てないんだ。