“運命の赤い糸”
ヒロキの住む街の駅についた。
駅から出ると、心地よい風が肌に触れた。
夏といっても、あたしの住んでいる地域と比べたら全然涼しい。
この街にヒロキはいるんだね。
やっと、ヒロキに会えるんだ。
ヒロキが転校して2週間。
たった2週間だけど、あたしには何ヶ月にも感じたんだ。
トモヤから教えてもらった住所に向かって歩きだした。
着くとそこには、きれいなマンション。
ここにヒロキはいるんだね。
2階に上がって、紙に書かれた部屋のインターホンを押す。
中からは『はーい』ってお母さんらしき人の声が聞こえた。
ドアが開いて、きれいな女の人が顔を出した。
「あら? どちら様?」
優しそうなその人は、目元がヒロキによく似ていた。