“運命の赤い糸”


駅までの道を、とぼとぼと歩いた。

昼とは違う足取り。


あたしやっと、ヒロキと付き合えるんだって、そう思いながら歩いた道。

全部あたし1人の思い込み。


ヒロキの心は、違う子にあるんだ。

この街のどこかにいる、ヒロキの愛する人に。


あたしの目からはまた、涙が溢れ出した。

さっき、ヒロキの前であんなに泣いたのに。

それでも涙は枯れない。


ヒロキへの想いが大きすぎて、抱えきれないほどに大きくなって。

やっと今日、ヒロキに届くんだって、思ってたのに。


届かない想いなら、消えてなくなればいい。

けれど、簡単に消えてくれないのが恋。

ヒロキを嫌いになることだって、できない。




< 72 / 201 >

この作品をシェア

pagetop