“運命の赤い糸”
駅までの道を、とぼとぼと歩いた。
昼とは違う足取り。
あたしやっと、ヒロキと付き合えるんだって、そう思いながら歩いた道。
全部あたし1人の思い込み。
ヒロキの心は、違う子にあるんだ。
この街のどこかにいる、ヒロキの愛する人に。
あたしの目からはまた、涙が溢れ出した。
さっき、ヒロキの前であんなに泣いたのに。
それでも涙は枯れない。
ヒロキへの想いが大きすぎて、抱えきれないほどに大きくなって。
やっと今日、ヒロキに届くんだって、思ってたのに。
届かない想いなら、消えてなくなればいい。
けれど、簡単に消えてくれないのが恋。
ヒロキを嫌いになることだって、できない。