“運命の赤い糸”


そして、前と同じ言葉を発する。


「ごめん……彼女…いるから」


ヒロキはそう言うけど、

なんで目ぇ見て言えないの?

あたしのことなんとも思ってないなら、ちゃんと目ぇ見て言ってよ…


「ヒロキ…嘘言わないで…」

「嘘…じゃない…」


やっぱり目を合わさない。

言葉だって、途切れ途切れ。


「彼女なんて…いないんでしょ!?
本当のこと言ってよっ……」


あたしの目からは、涙が溢れ出した。

あたしはこんなにヒロキを好きなのに。

ヒロキには伝わらないの?

なんで本当のこと隠すの?


「ナオ……」

「本当に彼女がいるなら、あたしの目見て言ってよっ」




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