“運命の赤い糸”


「トモヤがさ、ナオのこと心配して俺に言ってくれた。でも俺何もできなかった」


悔やむように下を向くヒロキ。

ヒロキが悔やむことじゃないよ。

ヒロキはあたしのために、自分が転校してまでサクラと別れたんじゃん。

あたしのためって言ったら言い過ぎかもしれないけど。

あたしはそれだけで充分だよ。


「俺とナオが付き合い出したら、サクラは絶対にナオをいじめると思ったから。
俺、ナオだけは傷付けたくないんだよ」


ヒロキの、あたしを想う気持ちがすごい伝わってきた。

あたしのために、ヒロキはあんな嘘をついたんだ。

あたしがヒロキを諦めるために。


「だけど…今日泣きながら俺に気持ち伝えるナオ見て、我慢できなくなった。
ナオと一緒にいたいって思った」




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