“運命の赤い糸”
9.幸せな時間
「じゃあな。気を付けて帰れよ」
「うん」
ヒロキは帰り、駅まで送ってくれた。
繋いでいた手を離す。
せっかく想いが通じたのに、また離れ離れになっちゃうんだね。
あたしの顔は自然に下を向く。
その時、ヒロキが勢いよくあたしを抱きしめた。
「ヒロキ…?」
あたしはヒロキの名前を呼ぶ。
あたしの目の前にはヒロキの胸。
「ああーもう、離れたくねぇよ!」
「ヒロ…キ…?」
いきなり大声を出すヒロキ。
「また…離れ離れになるんだな」
切なそうな声でヒロキは言った。
「…うん」
あたしの声も自然に小さくなる。
ヒロキと…離れたくないよ…
「会いに行く。もうすぐ夏休みだろ? 絶対に会いに行くからな」
「…うん。待ってる」
あたしはヒロキの腕の中で小さく呟いた。