“運命の赤い糸”


発車のベルが鳴って、あたしたちは名残惜しくも離れた。


「じゃあ…行くね」


あたしはヒロキから離れ、新幹線に乗り込んだ。

ヒロキの顔が、見れなかった。

泣いちゃうから。

ヒロキに会えなくなるのが寂しくて、泣いちゃうから。

あたしはヒロキなしじゃ、ダメなの。

弱いあたしのまま。


「ナオ!」


ヒロキの声がして、あたしは振り返った。

ホームのギリギリまでヒロキは出てきて、あたしに向かって言った。


「電話、するから! メールも、手紙だって書く! 会いにも行く!
離れても、俺たちは1人じゃないから!」


必死に叫ぶヒロキを見て、あたしは涙が止まらなかった。

やっぱりあたし、ヒロキのそばにいたいよ。

涙で視界がぼやけながらも、必死にヒロキを見つめた。


好きだよ、大好きだよ。

ヒロキがあたしの全てだよ。




< 95 / 201 >

この作品をシェア

pagetop