【短】泳いでね、スー ②〜まだ終わらぬ震災の中で〜
「しかし…、いつまでもお湯や空調をただにして頂くのは…。」
と、福留は封筒を両手で持ち、大家さんの前に差し出した。
大家さんはそんな福留の姿に苦笑いを浮かべ、
「福留さんは、しっかりしたお方だ。わかりました、受け取りましょう。」
と、福留から封筒を受け取った。
「有難うございました。では、私は作業に…。」
と、福留はホッとした表情を浮かべると体の向きを変えたのだが、その時に、
「ちょっと、待って下さい。」
と、大家さんには呼び止められてしまう。
大家さんは、笑顔で封筒を福留に向けた。