おっさんと女子高生
あの日、彼女に好きだと言われた。キスもした。でもそれ以来何事もない。抱き締めてもいないし、手だって繋いでいない。今まで通りの、ただのおっさんと女子高生の関係のままだった。
幻だったのだろうか。憐れな中年男に神が甘い夢をみせてくれたのだろうか。
それについて彼女は何も触れてこないし、自分からもなにも言わない。あの日の事はタブーのようになっていた。
四年だ。四年後にどうなっているかがわかる。彼女はたぶんそれを気にしているのだ。
「おっさん」
「何だ?」
「不思議だとは思わない?」
残り少なくなってきたスナック菓子の袋に手を突っ込み、ガサガサと中をかき回す。お菓子の欠片の寄せ集めを手でつまみ上げて口に放り込む。
もぐもぐと顎を動かせながら彼女は話を続ける。