おっさんと女子高生
木造二階建てで築25年のボロアパート。ちなみにワンルーム。
仕事が終わって部屋のドアを開けたのは深夜1時過ぎだった。
ただいまに返事をしてくれたのはナイスバディな彼女……ではなく、独り暮らしにぴったりな小さな冷蔵庫のブーンという機会音。
汗臭いTシャツを脱いで洗濯機の中に投げ入れて、かわいらしい冷蔵庫の取っ手を握った。
冷蔵庫を開けたことで暗闇の中にぼんやりと明るい空間が生まれる。嫌な臭いが鼻につくも、頭を冷蔵庫の中へと近づけた。
無い。ビールは勿論、キャベツの切れ端すらない。瓶詰めの岩海苔しか見当たらない。米がないからこれは使えない。
舌打ちして、床に転がっていたおそらく洗濯済みのシャツを着て、ズボンのポケットの中に手を突っ込んだ。
いち、にい、………。五百円玉と百円玉数枚の感触を確かめて、再びボロいドアを開けた。
全く、世の中は便利になったもんだ。24時間営業のコンビニがそこらじゅうにあるんだ。しかも歩いて行ける。
ポケットの中の小銭を弄びながら電灯に照らされた道を歩いていた。
徒歩5分のコンビニまであと少しになった。コンビニの駐車場には車が二台。……と、じょ、女子高生じゃねーか。
コンビニの入り口の近くの――雑誌売り場のところのガラスの壁を背もたれにして、ブレザーの制服を着た女子高生が立っていた。