おっさんと女子高生
今日は彼女が来なかったから、押し入れじゃなくて畳の上に敷いてある布団を使って寝ていた。つまり、彼女がいつも使っている布団。
内容は覚えてないが、とにかく俺は夢を見ていた。次第に意識がはっきりしてきて、布団の重みが感じられるようになった。
それから少しして、腹の上に乗ってるのは布団だけではないと思い始めた。布団にしては重すぎる。
重みのせいなのか心臓が圧迫されてる感じがするし、なにより体が動かない。汗もでてきた。これが巷でいう金縛りなのかもしれない。
バチッとまぶたが開いた。真っ暗だった。まばたきを繰り返すと次第に暗闇になれてきて、真上に吊るされる電気が見えてきた。
目玉だけ動かして上に乗っている布団を見ようとして驚愕。確かに布団はのっていた。しかし、俺と布団の間に人間がいた。
ヒッ、と声が漏れたかもしれない。その人間の長い黒髪が首もとを撫で、脂汗がふき出した。
「………ん…。おっさん?」
人間が顔をあげて、真っ黒な2つの目をこちらにむける。
「………お、……お前…」
「………なんだ、まだ丑三つ時だよ」
人間は俺の上にのったまま、手だけのばして枕元の目覚まし時計を確認した。